AIの時代に、なぜ『香り』なのか。High Link COOが語るZOZOと歩む次の10年

1.はじめに

株式会社High Link COOの岡本と申します。

High Linkは4/30にZOZOグループへのジョインを発表いたしました。
(プレスリリース:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000092.000061060.html )

 

ディールの詳細や意思決定については代表・南木が記事にしておりますのでご興味のある方は是非ご覧ください。

創業から10年目、High LinkはZOZOグループの一員になりました。私たちはこれを「第二創業期」と位置付けており、改めて「High Linkの現在地と今後の展望」についてお話ししたいと思います。最後まで読んでいただけたら嬉しいです。

2.High Linkについて

まず、High Linkという会社についてお伝えします。 High Link(ハイリンク)は2017年に創業し、今年で10期目を迎えます。「わくわくで、あらゆる枠を超えていく」をPhilosophyに掲げ、「生きるを彩るLife Tech Company」という事業スローガンのもと、香りの総合プラットフォーム「カラリア」を中心に事業を展開しております。

創業以来、目立ったリリースをほとんど出さずにステルスに近い形で事業を育ててきました。それでも著名なVC・事業会社から複数回にわたり投資を受け、累計会員数90万人超え※1のサービス・香りの専門メディアを運営するまでに成長しました。派手さはなくとも、確実に、着実に、愚直に積み上げてきた10年でした。

そして今、さらなる非連続成長を目指すフェーズへ。ZOZOが持つ強固な顧客基盤・多様な事業アセット・幅広い顧客接点とのシナジーに大きな可能性を感じ、このたびのグループ参画に至りました。

※1 2026年4月時点のカラリア累計会員数

3.なぜ今、香りなのか

私たちのメイン事業であるカラリアは香りの総合プラットフォームとして、「香りで世界を彩る」というミッションを掲げ運営をしています。

このミッションは、私たちが生きるこの時代にこそ必要なものだと確信しています。そして、誰かがやらなければいけないなら、私たちがやる。その思いで、香りという市場と向き合ってきました。

2026年、私たちはAIが日常に溶け込んだ世界を生きています。あらゆるものがデータ化され、最適化される便利な時代。しかし、私たちの心はどうでしょうか。画面の中で完結する体験が増えれば増えるほど、どこか「体温」や「手触り」を求めている自分がいないでしょうか。 いま、私が「香り」のビジネスに全力で向き合っている理由は、まさにそこにあります。


情緒的な価値が、生存戦略になる
デジタル化が極まった社会では、機能や効率だけでは人の心は動きません。AIが論理的な正解を瞬時に導き出せるからこそ、人間には「理屈ではない心地よさ」や「説明のつかない感動」といった、情緒的な価値が不可欠になっています。 香りは、五感の中で唯一、脳の感情を司る部分にダイレクトに届きます。言葉になる前の「なんとなく好き」「なぜか落ち着く」という感覚。AIが最も不得意とする「言語化できない感情の豊かさ」を扱えるのが、香りの最大の強みです。


市場は、すでに動き始めている
これは一過性のブームではない。その証拠に、2026年3月にはニッチフレグランス専門店のNOSE SHOPが香水専業として世界でも稀有な上場を果たし、新たな挑戦を発表した。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000162.000024774.html

また、百貨店や小売も積極的に動いている。阪急うめだ本店は2025年から2026年にかけて売り場を大幅に拡張し、さらにはブランドの垣根を超えて香りを試すことができる“試香室”を新たに導入した。小売が「香りの体験」に物理的な投資をし始めている。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002497.000014431.html

報道によると、資生堂も成長を牽引する最優先ブランドのひとつとしてフレグランスを挙げ、スキンケアと並ぶ『戦略的成長カテゴリー』に格上げしています。これら重点ブランドの育成に充てられる300億円規模の戦略投資枠も、今やスキンケアと並んでフレグランスブランドがその主要な対象となっているのです。
https://www.fashionsnap.com/article/2024-11-29/shiseido-2025-2026/

SNSでの盛り上がりを見ても、これは一過性のブームではなく、人々のライフスタイルが「本能的な心地よさ」を軸に再編されている大きなうねりだと感じています。


それでも、まだリーディングカンパニーはいない
ビジネスの視点に立てば、嗅覚の領域は五感の中で「最後にして最大の空白地帯」です。視覚や聴覚はすでに飽和状態ですが、香りの領域はまだ誰もリーディングカンパニーになっていない。だからこそ、長期的に事業を育てるだけの圧倒的なポテンシャルがある。個人的に、これほど面白い市場はないと確信しています。

「香り」を、ただの嗜好品としてではなく、人生の質や日常を劇的に豊かにするインフラとして定義すること。それが、この時代に香りを扱う私たちの使命だと考えています。

4.カラリアの現在地

次に、カラリアについて紹介します。冒頭お伝えした通り、カラリアは「EC・メディア・ブランド」の3軸で香りのプラットフォームとして事業を展開しており、それぞれが独立した事業ではなく、相互に絡み合いシナジーを生むことで、競争優位性を作っています。

カラリアが生まれた背景には、当時の香り市場が抱えていた構造的な歪みがありました。

◎香りは目に見えない 服やコスメと違い、香りはオンラインで再現できない。そのため実際に試さないと分からない。

◎店頭依存の販売チャネル 日本の香水市場は百貨店・店舗中心の販売チャネル構造になっており、接客と体験が前提で、ECに最適化されていなかった。

◎失敗リスクが高い 香水はフルボトル(数千円〜数万円)での購入が前提であり、合わなかった場合のリスクが大きい。そのため、特に初心者にとってはハードルが高い。

こうした課題を解決すべく生まれたのが、カラリアです。香りは体験が前提の領域でありながら、体験機会が制限されている。そんな構造的な課題に対して、データとテクノロジーで切り込みました。口コミ・SNS・診断・レコメンドを掛け合わせることで誰もが気軽に香りと出会える場所をつくる。これがカラリアの出発点であり、今でも変わらない軸です。

EC(香りの定期便)

High Linkのメイン事業です。香水を中心に、様々な香りアイテムを月額制で少量ずつ利用できるサブスクリプションサービスとして2019年にリリースしました。約1,000種類のラインナップから毎月好きな商品を選ぶことができます。さらに香水診断やレコメンド機能を通じて、自分に合った香りに出会える体験を提供しています。

これまでの累計会員数は90万人を超え、20代女性を中心に全国のお客様にご利用いただいております。

メディア(カラリアマガジン)

香りに特化した自社SNS・WEBメディアの運営と、香り好きマイクロインフルエンサー約7,000人のマネジメントを直接行っています。

香りに関心が高いユーザーへの初期接点であり、ECとPBの両事業を支える土台です。

PB(カラリアホーム)

カラリアで蓄積した香りのデータと顧客のインサイトをもとに作り上げたライフスタイルブランドとして2025年1月にリリースしました。

立ち上げ初年度でAmazon・楽天などの総合EC内のレビューで安定的に高い評価を獲得し、2026年1月からは全国のLOFTへの展開を開始しました。丸の内ホテルや高松空港・静岡空港のビジネスラウンジ等にも採用いただいています。

香水のサブスクから始まったカラリアは、データとテクノロジーを駆使して事業領域を拡大し、香りの総合プラットフォームへと進化を続けています。

5.これからの展開について

ZOZOグループへの参画は、「香りで世界を彩る」というミッションの実現を加速させるための一手です。 ZOZOTOWNが有する1,200万人以上のアクティブユーザー、圧倒的なブランドリレーション、物流ノウハウを含むZOZOの強固な事業基盤を活用し、High Link単体では「やりたいけどできなかった」ことを現実に変えていく。——それが、私たちの次の勝負です。

EC:より多くの人に、より深い香り体験を

1.ターゲットの拡張

これまで20代女性を中心に展開してきましたが、より多くの人に香りを楽しんでもらうために、ターゲットの拡張を実現していきます。実際に30代・40代ユーザー様もいらっしゃいますし、女性のみならず男性のユーザー様からも反響をいただいております。ZOZOTOWNには幅広い層のユーザーがいます。その接点を活かして、これまでリーチできていなかった層への展開を本格化させます。

2.プロダクトの進化

香り選びの体験そのものをアップデートします。90万人超※1のユーザーが積み上げてきたレビューデータと、AIを組み合わせることで、「自分に合う香りを見つける体験」の精度を根本から上げていく。カラリアを、香りとの出会いを最適化するプラットフォームへと進化させていきます。

3.オフライン進出・OMO 

ここが、第二創業期で最も大きなチャレンジだと考えています。 カラリアがずっと向き合いたくなかった事実があります。

香りは、実際に試してみないとわからない。

どんなにデータとテクノロジーを駆使しても、この本質は変わりません。この構造的な限界に、正面から向き合います。

だから、オフラインに出ます。

ただし、ただの香水屋を作るつもりはありません。私たちが作りたいのは「商品を売る場所」ではなく、「体験と感情を売る場所」です。90万人超のユーザーが積み上げたレビューと口コミ、カラリアの持つデータとテクノロジーを活用し、

「ここに来れば自分にピッタリの香りが見つかる」

そんな体験を設計していきます。

(イメージ図)

メディア:業界のデータマーケティングを前に進める

化粧品の領域は他業界と比べてEC化率が低く、リアル店舗中心の市場構造が続いています。その結果、デジタルデータが蓄積しづらく、データがなければマーケティングも成熟しない。そんな構造的な課題が化粧品業界の課題として挙げられており、私の肌感では特に香水や香りに関する領域はよりこの傾向が顕著だと感じております。

だからこそ、いかに質の高いデータを継続的に蓄積できるかが肝になります。カラリアはサブスクという性質上、購買データが継続的に取得することができます。そこにメディアから得られるインサイトを連携させていくことで、「香りへの関心」「選び方の傾向」「口コミのリアルな声」といった、購買データだけでは見えない、他社では取れないデータを積み上げていく。 90万人を超えるユーザー/購買データと、メディアで得られるユーザーインサイトを掛け合わせることで、ユーザーの香り選びに直結し、ブランドのマーケティングにも使えるデータ資産を作っていきます。香りの圧倒的なリーディングカンパニーになる——その土台をメディアが作ります。

PB:データを武器に、香りのライフスタイルブランドへ

香りのデータとユーザーインサイトを活用して1年前にリリースし、Amazon・楽天などの総合EC内のレビューで安定的に高い評価を獲得。全国LOFTへの展開でリアルチャネルでの可能性も見え始めました。 次のフェーズでは、カテゴリを大きく広げます。直近で5カテゴリへの進出が目前に迫っており、名実ともに「香りのライフスタイルブランド」へと進化していきます。全国LOFTでの検証を足がかりに、他のリアルチャネルへの展開も加速させ、信頼と認知を積み上げていきます。

6.香りを超えて「生きるを彩るLife Tech Company」へ

先日、カラリアのロイヤルユーザーにインタビューをした時のことです。

「あなたにとってカラリアとは?」という問いを投げかけてみました。

返ってきた言葉は、「自分の人生や日常をちょっと豊かにしてくれるサービス」でした。 香り選びのハードルを下げることから始めたサービスが、いつしか誰かの人生をちょっと豊かにするサービスへと進化していた。この言葉が、私たちの目指す姿を一番よく表していると思っています。

私たちはライフスタイルそのものを前進させるプロダクトを作り続けたい。「生きるを彩るLife Tech Company」というスローガンも、その意思の表れです。 香りは、あくまで入口に過ぎません。人の感情や気分、記憶に深く結びつく体験全体をテクノロジーで豊かにすることが、私たちの目指す姿です。香りで培ったデータとキュレーション技術を別のライフスタイル領域へ展開していく——「香りで世界を彩る」を実現しながら、High Linkはまだ見ぬ挑戦へと踏み出し続けます。

7.この挑戦を、一緒にやりませんか

ここまで読んでいただいた方に、最後に採用の話をさせてください。

この環境の面白さ

香りの市場には、まだ明確なリーディングカンパニーがいません。 これは言い換えれば、市場のルールをゼロから自分たちでデザインできるということです。「こうすれば伸びる」という教科書がない分、自分たちの仮説と実行力が市場の形を決める。これほど面白い環境は、そうそうないと思っています。

そしてもう一つ、今のHigh Linkにしかない特徴があります。

ZOZOという巨大資本と事業インフラを借りながら、スタートアップのスピードで動けるフェーズです。大企業の看板と資本を使いながら、決裁が早く、意思決定に自分の意見が反映され、やったことがすぐ数字に返ってくる。この両方を同時に経験できる環境は、キャリアの中でそう何度も訪れません。

経験豊富な方へ

各領域で実績を持ち、事業をリードできる方を探しています。

香り業界の経験は問いません。むしろ、新しい市場を作っていくという観点では、既成概念のない視点を持って来てくれる人の方が、この市場では強みになると考えています。 「香りは百貨店で売るもの」「フレグランスのターゲットは女性」——そういった前提を疑い、ゼロベースで市場を設計できる人と仕事がしたいと思っています。

ここから経営の中枢へ挑む若手へ

個人的な話になりますが、私自身、20代前半から経営に携わり、資金調達やM&Aといった大きな意思決定を経験してきました。当時の私たちに武器があったとすれば、それは若さだけでした。ビジネス経験もなく、仕事のいろはも何もわからない中で、「若さ」が、前提のない発想と圧倒的な当事者意識を生んでいたと思っています。

だからこそ、若い人が活躍し続けられる会社にしたい。

この会社を5年後・10年後に動かしているのは、これから入ってくるメンバーだと思っています。

将来、経営幹部として組織をリードする。そのための準備期間としてではなく、今日からその当事者として、この第二創業期を共に走り抜けましょう。

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