突然ロジスティクスマネージャーに任命され、物流組織をゼロイチで立ち上げた話


こんにちは!High Linkでロジスティクスマネージャーをしている横山勝矢(
@katsuya_high)です。

新卒で入社したZOZO Technologies(現・ZOZO)からHigh Linkに転職し、物流部門の立ち上げからシステムの開発まで、いわゆるゼロイチを担当してきました。

物流という仕事に出会ったのは、ZOZO Technologiesがきっかけです。新卒から丸2年間、物流部門のエンジニアとして働いていました。

ここでの経験を生かしつつ、ゼロからシステムをつくれるカオスな環境に身を投じようと考えて、飛び込んだのがHigh Linkでした。

これまでのキャリアについては、過去のインタビュー記事に詳細を書いています。よろしければ、本記事とあわせてチェックしてみてください。

さて、本記事では、インタビューでは語りきれなかった、ロジスティクスユニットのゼロイチについて詳しくご紹介します。

 

香りの定期便サービス「カラリア」を展開する私たちにとって、物流は事業の根幹です。それほど重要な位置付けにある、物流組織(システムを含む)を1人で立ち上げるのには、相当な苦労がありました……。

知識ゼロ、手探りによる物流改革の軌跡

入社して最初の仕事は、「分割販売」から「製造販売」への切り替えです。
自分が入社するまでは、お客様からの注文が入ってから、保管してある香水をアトマイザーに移し替えて発送する分割販売を採用していました。注文内容に応じて、手作業で詰め替え作業をしていたのです。しかし、在庫ロスをなくす意味では優れた方法だった分割販売方式は、1日の発送件数をスケールするのが難しく、増え続ける注文に対応できないという課題がありました。

そこで、あらかじめ香水をアトマイザーに移し替えた状態で保管し、注文が入ったらすぐに発送する製造販売形式に切り替える対応をしました。
言葉で表現すると簡単に聞こえますが、これが本当に大変な作業でした。在庫の持ち方を一新する必要があり、システム面での対応はもちろんのこと、薬事面の動きも必須となり、めちゃくちゃ大変でした。

分割販売から製造販売への切り替えを終えた後は、物流システムとECシステムの切り離しを行いました。

それまではEC側と物流側の区別が全くなされていない状態だったのですが、運用・保守がしにくい点や、今後機能拡張をしていくうえで障害となりうるため、EC側と物流側で管理モジュールを区別するプロジェクトを実行したのです。
システムの切り離しを行った、具体的な理由は以下です。

  • 物流システムとECシステムの相互への影響を極力考慮しない開発を行いたい
  • 新規プロダクトをリリースする際に再利用がしやすい体制を整えておきたい

当初はマイクロサービス化を視野に入れていたのですが、かかる工数や管理コストを考慮し、マイクロサービス化を視野に入れたモジュラーモノリス化を行うに至りました。

結果として、後述する物流作業効率化のための変更対応がスムーズに行える土台が整いました。

欠品ゼロのサービスを目指した取り組み

販売スタイルの変更やシステムの開発はハードでしたが、システムを変えたからといって優れたプロダクトが生まれるわけではありません。

お客様の不満をなくし、それでいて売上をつくる体制を構築する必要があります。その1つが、欠品を限りなく減らすことです。

カラリアは、1ヶ月で使い切れるサイズの香水を、毎月お客様へお届けするサービスです。お客様がご自身でカレンダーにアイテムを追加することで、月ごとに届くアイテムを指定することができます。

論理的に考えれば、カレンダーの情報をもとに発注処理を行うことで、過不足のない発注ができることになります。

しかし、お客様にとっての有益性を担保するために、カレンダーは発注処理の直前まで変更可能な仕様になっています。

つまり、カレンダーの情報を信用して準備をしていると、直前になって在庫不足を起こしてしまうのです。過去に何度か、この在庫不足でお客様にご迷惑をおかけしてしまったことがありました。
そこで、過去の発送履歴から、取り扱い香水約1,000SKU(Stock keeping Unit)それぞれに対して発注点(閾値)を定め、カレンダーの情報とハイブリッドで発注数量を定めるように仕様を変更しました。
また、以前までは発注担当者が手作業で切り替えていた各商品のステータスも、在庫数量とカレンダーの情報、そして上記の発注点に応じて自動で遷移するように切り替えたことで欠品はグンと減りました。

間違いを起こさず、生産性を上げる取り組み

配送を伴うサービスにおいて、絶対に見落としてはいけないポイントが「誤配送」です。
以前より、現場のスタッフさんに注意深く検品を行っていただいていたので、誤発送の発生件数はほとんどありませんでしたが、その分出荷指示と商品を見比べる時間が長くなり、生産性が落ちてしまうという課題がありました。
これに対して、ハンディを導入することで、目検からシステムを通した検品に変更し、誤配送ゼロにしつつ検品に用いる時間を短縮して、生産性を向上させるといった取り組みも実施しました。
ハンディを導入する以外にも、現場スタッフへのヒアリングをもとにした、​ちょっとした不便さや​システムの改善をこまめに実施しています。

まだまだゼロイチ、これからが本番

上記のようにいろいろと対応してはいますが、それでも遅延を完全になくせていなかったり、お客様が選択できないステータスの商品も存在したりしています。
また、サービスの規模も日に日に大きくなっており、より多くのお客様の生活を香りで彩っていくための施策もまだいっぱい抱えています。

現場運用を滞りなく回す、新しい施策のオペレーション設計を行う、メンバーの評価管理、中長期の計画立て……などなど、やるべきことが無数にある状態です。
これらの施策をスピーディーに回していくためにも、物流基盤をより頑健かつ柔軟にしていく必要があると考えています。

パッと思いつく限りでも、直近で取り組みたいアクションも山のようにあります。

  • 調達業務周りの整備
    • 発注点・発注サイクルの見直し
    • アイテムステータスの整備
  • 現場運用の効率化
  • 現場コア業務のSOP作成
  • 新規施策のオペレーション設計
  • 製品品質向上

……などなど、挙げ出したらキリがありません。

直近は、ロジスティクスディビジョンに、SCM(サプライチェーン・マネジメント)を担当する頼もしい仲間がジョインしてくれて、エキサイティングな仕事にも手が回るようになってきました。

新しい仲間たちと「どんな施策を実行すべきか」を議論したり、「これからHigh Linkの物流組織をどんな組織にしていくか」という未来図を一緒に描けている毎日に、とてもわくわくできています。

カラリアは、Visionに「香りとの出会いを最適化する」、Missionに「香りで世界を彩る」と掲げています。

物流は事業の要であり、例に挙げたアクションを実行していくことは、お客様に「まだ知らない香りとの出会い」を届けることそのものです。そして、すべてのアクションは、香りを通じて、みなさまの世界を彩っていくことにつながっています。

香りというキーワードを通じて、世界を彩る仕事に少しでも興味のあるみなさん、ぜひ一度お話ししましょう。毎日わくわくしながら働き、わくわくを届けていく仲間になっていただけたら、それ以上に嬉しいことはありません。

執筆:横山 勝矢
構成:オバラ ミツフミ
デザイン:坪田 ともえ
編集:塩盛 茉優子

High Linkでは、一緒に働く仲間を募集しています

応募は考えていないけど少し興味がある、という方も大歓迎なのでぜひ一度、カジュアルにお話しましょう!


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