
はじめに
こんにちは、株式会社High Linkで開発チームのリーダーをしている梶山(@h__kajiyama)です。
「カラリア 香りの定期便」は、約1,000 種類の香りアイテム(人気ブランド香水やルームフレグランス、バスグッズなど)の中から毎月好きな商品を選ぶことができる香りのサブスクリプションサービスです。
ユーザーが実際に操作するWeb EC/サブスクの部分から、小分け香水の製造/物流を管理するSCMシステムまで全てを内製していることが特徴的です。
この記事では、カラリアのエンジニアリングの面白さを、三つの観点から紹介します。
1. Webで香りを扱う面白さ
2. SCM開発の面白さ
3. エンジニアチームのあり方
ハイリンクに興味があるエンジニアの方はもちろん、それ以外の方々にもエンジニアチームがどんな課題にどう向き合い、どういった面白さがあるのかを知っていただけたら幸いです。
1. Webで香りを扱う面白さ
カラリアで香水を注文するユーザーは、実際の香りを知らずに選ぶことが多いです。
しかし、ブラウザが伝えられる感覚は、ほぼ視覚に限られます。さらに香りは五感のなかでも特に主観的で、例えば「ウッディ」「フローラル」といった香りの種類も、人によって思い浮かべるイメージが異なります。
だからこそカラリアでは、「嗅げないものを、どう伝えるか」がプロダクトの根本課題になります。そのなかで、ユーザーが迷わず香水を選び、届いた香りを楽しめる体験をどう設計するか。 ここに、カラリアならではのUI/UXの面白さがあります。
香り体験の蓄積と可視化 ── 香りのコレクションと香りプロフィール
ユーザーは毎月香水を注文し、届いた香りに対してレビューを残します。月を重ねるごとに、注文履歴とレビューが少しずつ積み上がっていきます。
カラリアはこの蓄積を、二つの形で可視化しています。
ひとつは「香りのコレクション」です。カード型で時系列に並び、カードをめくることができます。自分の香り体験履歴を記録し、好みが時間とともにどう変わってきたかを画面のなかで追えるように設計しています。香水と共に届くアイテムカードとWeb上のUIを同じにすることで、Webと物理の体験をシームレスに繋げている点も工夫の一つです。単にレビューを並べたリストではなく、自分の香水棚が揃っていく様子を表現しています。

もうひとつは「香りプロフィール」です。あなたの好みの香りタイプTOP3や、最近高評価したアイテムなどを表示する、嗜好分析のページです。香りの好みは自分でも言葉にしにくいものですが、ここを見れば「自分はこういう香りが好きなんだ」というのが一目で分かります。蓄積したユーザーの嗜好データを、香りの専門家と協力して設計することでより正確な分析体験を提供しています。

香りの好みは言語化が難しく、自分でも掴みにくいものです。カラリアは毎月の注文とレビューを通じて、この嗜好を少しずつ可視化していきます。月を重ねるごとに自分の好みが育っていく、という時間軸のあるサービスを設計することが、サブスクで香りを扱うならではの面白さです。
2. SCM開発の面白さ
カラリアのエンジニアリングは、Webだけでは完結しません。化粧品の物流という全く違う領域が同居しています。とはいえWebの設計と完全に切り離されているわけではなく、Web上の体験と、現場でのオペレーションは、同じ情報の上で動くように作っています。
SCMという領域
カラリアは、Webアプリの裏側に製造と物流が常に動いているサービスです。調達した香水の充填を自社で行っており、倉庫オペレーションも自分たちで動かしています。
カラリアの裏側を流れの順に並べると、「調達」「製造」「出荷」「配送」という四つの工程があります。そして、これらすべてを横断するかたちで、在庫管理が存在しています。

特に、製造は定期便というサービス特性が最もシステムに現れる工程です。原料の入荷タイミング、需要のピーク、自社充填の能力などさまざまな制約のなかで、スケジュールを組み、在庫を切らさずにユーザーへ香水を届ける必要があります。
「次回の注文」を予約しているユーザーの数と、それぞれが選ぶ香水の予測をもとに、いつ・何を・どれだけ作るかを決めています。
さらに、横断的な在庫管理は、トレーサビリティ(調達から製造、流通、販売、そして消費や廃棄に至るまでの全過程を追跡可能な状態にすること)に直結する重要な仕組みです。カラリアでは取り扱い対象が化粧品がゆえの法規制(薬機法対応、ロット単位のトレーサビリティなど)を満たす必要があります。そのため、入荷した原料の一本ごとに製造ロット番号を振り、「いつ・どこから来て・どの注文に出ていったか」を追跡できるようにしています。
単なる物理商材のECではなく、化粧品の製造や法規制対応まで含めてシステムを設計している点は、カラリアのSCM領域ならではの特徴であり、面白さでもあります。
システムは倉庫現場で動く
SCMシステムは当然各作業が行われる現場で使われます。データや各種処理や指示が正確であることはもちろん、倉庫現場の方が間違わずにかつ効率的に作業ができる必要があります。スムーズな現場作業を行っていただくために、システム上のUIを迷いなく操作できるようにしたり、問題があれば速やかにエスカレーションできる仕組みを整えています。
また、現場の作業を見たり、フィードバックをいただくことで分かることもたくさんあります。新機能リリースや既存機能の改善の際は、実際にエンジニアが倉庫に赴き現場での使われ方を把握することでよりよいシステムへと改善していっています。
現場との協力により、システムの改善だけではなくSCM全体を良くしていけるのも魅力です。
以下では現場の改善要求から生まれた具体例を一つ紹介します。
ハンディターミナルとピッキング
出荷業務のうちの一つである倉庫の検品は、ハンディターミナルを使った業務です。バーコードを読み、画面で確認し、次に進む。腰を据えて画面に向き合うWebアプリとは違い、片手で持って現場を動きながら使う道具です。スキャン中心でタップは少ない方がよく、エラーが起きると検品作業が滞ります。
効いている工夫の一つが、検品に「配送先別の仕分け」を一緒に乗せていることです。たとえばハンディに「関東向け」とセットしておくと、関東以外の伝票が読まれたときだけ警告を出します。仕分けのために伝票を見直す手間がなくなり、警告された時だけ対応すればよくなる。複数の作業を、現場の負荷を増やさずに一つの動作に重ねる、という設計です。
詳しい開発の話は、弊社TechBlogの「ハンディターミナルで物流業務を効率化した話」に書かれています。あわせて読むと、現場とWebエンジニアリングの接続をより具体的に感じてもらえると思います。
事業への貢献
SCMは、商品を仕入れ、加工し、届けるというサービスのコアの部分を担っています。ユーザーとの約束を守り、事業へ収益をもたらす事業の根幹を担う役割です。
カラリアでは注文から3営業日での配送を行っています。そのためには事前にある程度の製造が完了し在庫があることと、梱包と発送が溜まらずに捌き続けられている状態が不可欠です。そのために、需要予測と在庫管理による準備や、スムーズな梱包/発送を行うためのオペレーションの効率化に日々取り組んでいます。
また、コスト構造と利益率にも大きく寄与します。原価やキャッシュフローなど、事業上重要な数値のコントロールを行えるのがSCMです。日々の業務フローをこなすだけではなく、事業数値に対する影響を考えながらのエンジニアリングを行う必要があります。
3. これを支えるチームのあり方
1章ではWebで香りを扱う面白さ、2章ではSCM開発の面白さを紹介してきました。広い領域を少人数で担っているカラリアでは、それを成り立たせるエンジニアチームのあり方にも特徴があります。
カラリアのエンジニアチームは、「担当領域」ではなく、「届ける価値」に対して責任を持つ考え方をしています。「自分のタスクはここまで」「残りは他の人にバトンタッチ」という線を最初に引きません。ユーザーに届けたいものを起点に、機能や施策の単位で必要なものを組み立て、実際に価値を届けるところまで責任を持ちます。
カラリアのエンジニアの動き方
カラリアのエンジニアが担当するのは、機能や施策の単位です。プロダクトに対しどういったインパクトを与えられるかを考え抜き、届けたいものから出発し、エンジニアとしてそれをどう実現するのかを決め、届けるまでに責任を持ちます。
そのため、自然と事業領域・システム領域をクロスファンクショナルにまたいで動くチームになっています。
1. 事業領域の横断
ここまでで紹介したWeb領域とSCM領域は、性質や提供価値が大きく異なります。しかし一つのプロダクトとして密接に関わっている部分も多くあります。
例えば、Web上のキャンペーン体験と、実際の配送オペレーションは切り離して考えられません。お互いの垣根なく担当することで、画面上の体験から現場オペレーションまでを一連で設計できます。
また、朝会や振り返りなどのスクラムイベントは開発エンジニアチーム全体で行っており、、日々の開発だけではなく、ライブラリバージョンアップなどの基盤整備も横断的に協力して進めています。
2. システム領域の横断
フロントエンドからバックエンド、インフラ、セキュリティまで全ての領域に関わります。 **「届けたいもの」を起点に動くなら、個々人の専門領域だけに閉じている必要はありません。**少数精鋭であることもこの動き方を後押ししています。
カラリアのエンジニアは、プロダクトを、価値提供を、事業成長を第一に考えて動きます。クロスファンクショナルは、その姿勢のあらわれです。
大事にしているエンジニア像
High Linkの大切にしているエンジニア像は、届けたい体験を起点に幅広く動けるエンジニアです。
「自分は〇〇が専門だから」を起点に動くと、ユーザーに届く価値とズレが生まれます。届けたいものから出発して、必要な技術を選び、必要なら隣の領域に踏み込む、という動き方です。
専門性が要らないという話ではありません。深く掘れる軸を持っていることは前提です。その上で、軸の外に出ることに抵抗がないか、出た先で学ぶことを楽しめるか。カラリアのエンジニアチームは、このエンジニアリングを楽しむチームです。
Webサービスだけでも、物流システムだけでも終わらない。この広い問題領域を面白がれる人にとって、カラリアのエンジニアリングはかなり手応えのある環境だと思います。
まとめ
香りのUI/UXから、化粧品物流のシステムまで。カラリアのエンジニアリングには、Webと物流を横断する広がりと、その一つひとつにある面白さがあります。
- Webでは、嗅覚という言語化しにくい感覚を、どう表現し届けるかという面白さ
- SCMでは、調達から配送までを一気通貫で設計し、現場オペレーションまで含めてシステムを作る面白さ
- それを支えているのは、担当領域ではなく届ける価値に役割を持つエンジニアチーム
専門性を深めることと、その枠の外に挑戦することを両方楽しめるエンジニアにとって、手応えのある環境です。少しでも興味を持っていただけたら、ぜひカジュアルにお話しましょう。
High Linkで、一緒に新しい挑戦をしていきませんか?
High Linkでは、「わくわくで、あらゆる枠を超えていく」というPhilosophyのもと、香りの総合プラットフォーム「カラリア」の運営をはじめ、新規事業にも取り組んでいます。
カラリアのエンジニアリングは、単なるWebサービス開発ではありません。香りという感覚的な体験から、化粧品の製造・物流システムまで、幅広い問題領域に向き合っています。
専門性を深めながらも、その枠を越えて価値を届けることを楽しめる仲間を募集しています。
もし少しでも面白そうだと感じていただけたら、ぜひ採用情報もご覧ください。