High Linkにて執行役員として、カラリアのプロダクトマネージャーをしているMasaya(@msykbys10)です。
アナリストやマーケ、経営企画がバックグラウンドだったりして事業課題に合わせて何でもやるタイプの人間ですが、ここ1年はもっぱらPMとしてプロダクトの統括をしています。
最近カラリアのプロダクト開発がとっても面白く、思い立ってブログを書いてみました。
この記事では、カラリアのプロダクトマネジメントについて、いろいろ試行錯誤した結果どのような形に落ち着いているのかをまとめたものです。
カラリアについて
香りのセレクトショップ「カラリア」は、約1,000種類におよぶ香水のラインナップから、毎月新しい香りを少量ずつお試しできるサービスです。
僕たちは、とても人間的で感覚的な「香り」という体験は、AIに代表されるテクノロジーが「人間らしさ」を問い直す時代において、今後より一層特別な意味を持ち、より希少な価値となっていくと考えています。
香りで引き出される予想外の創造性。
香りを介して深まる人とのつながり。
香りから始まる小さな冒険。
日常に彩りを加える香りの発見。
これを多くの人々に届ける挑戦は、単なるビジネスの機会ではなく、人々の生活に新しい楽しみを生み出すアクションです。
「香水の小分けサブスク」というモデルを発明して以降、後発でいくつかのサービスが参入してきましたが、現在マーケットにおけるプレイヤーはカラリア以外に存在しません。
サービスリリース以降、早期からオウンドメディアに注力したことで、マーケットで追随を許さない認知度を得ました。また、マーケティングコストを確保するための資金調達も実施し、圧倒的トップシェアのポジショニングをスピーディーに獲得できました。
そもそもビジネスモデルとして参入障壁が高く、特に多品種小分けのロジスティクスオペレーション構築は本当に大変で、僕も入社時に「これをやるスタートアップがあるのか」と驚いたほどです。(グロースに合わせて規模拡大していくことも非常に難しく、まだまだ改善の余地があるポイントです)
先行者としてしっかりと競争優位性を築くことができ、マーケットシェアを抑えた段階でプロダクトの改善にフォーカスを移行したことで、今ではユニットエコミクス(CAC / LTV)の安定感も抜群の状態です。
Philosophyに紐付く戦略設計と組織構築
僕たちHigh Linkは、Philosophyに「わくわくで、あらゆる枠を超えていく」と掲げています。
常識も固定観念もあらゆる枠をも超えて、可能性や希望を広げていく。世界中の人々が心踊る、よりよい未来を拓いていく所存です。
このPhilosophyが僕たちの根源であり、つくりたい世界です。PhilosophyをTopに、以下のような構造でビジョンや戦略を整理しています。
まだまだ上手くできていない箇所もあり、現在も進化の途上にあります。特に、各層の接続性については、日々改善を重ねている状況です。
プロダクト戦略
上述したように、早期にトップシェアを獲得し、かつ後発がさらに参入しづらい環境を構築したことで、非常にユニークな環境に身を置けています。
ベンチマークが存在しないため、業界水準的な指標がないといったデメリットもありますが、短期的な競争対応ではなく、長期的な価値創造に集中できています。
カラリアのプロダクト開発をリードするようになって気づきましたが、この環境はPMにとって本当に素晴らしいなと。競合ではなく、ユーザーに全集中してプロダクト開発ができる環境なので。
どんなときでもユーザー中心の意思決定ができるので、競合との差別化ではなく純粋なユーザー価値が追求できますし、ユーザーや市場の声に真摯に丁寧に耳を傾けられる環境です。
(競合参入リスクに対しては、独自のロジスティクスシステムの構築やブランドポジションの確立、ブランド様とのリレーションなど、複数の参入障壁を重ね合わせることで、経営として盤石な事業基盤を構築しています)
またビジネスゴールから逆算しても、次の投資ポイントはUXだと経営判断をしています。
2024年2月に12ヶ月コースをリリースし、選択率の向上にコミットしてきました。その結果、売上ベースの24ヶ月pLTVを前年同月比で159.1%という脅威の爆伸びを実現することができ、でかいゲームチェンジを起こすことができました。(もちろん12ヶ月コース選択率だけの改善ではなく、他の改善施策の積み重ねです)
次は12ヶ月コース更新率を引き上げることでLTVがさらに非連続に伸びますが、12ヶ月コース更新率は長期間でのユーザー満足度がモノをいう指標であり、UXを磨き上げることでしか伸ばすことはできないと考えています。
超重要な経営指標の改善のためにUXに投資する。
PM冥利に尽きますね(!)
ちなみにプロダクト戦略については、このような形で社内共有しています。
具体的には、
- 事業方針
- プロダクトビジョン
- バリュープロポジションの戦略キャンバス
- ユーザータイプ(カラリアを利用しているユーザーを、ニーズや特性をもとに3つのタイプに分類したもの)
- グロースサイクル
- コアサイクル(ユーザーがカラリアを使う際に発生する、共通かつ重要な体験を抽出して表現したサイクル)
- 強化方針
のようなことを記載しています。
ビジネスゴールとプロダクトビジョンから逆算し、理想の体験を見極め、プロダクトに反映させユーザーに付加価値を届けていく。
そのためにユーザー理解を深め、ユーザーの声がプロダクト戦略の軸に置かれるようなプロダクト開発を実践しています。
明確な競合がいない市場で、僕たちの正解を教えてくれるのは、ユーザーの声だけです。市場に前例がないからこそ、ユーザーリサーチは僕たちの羅針盤となります。
全てはお見せできませんが、実際にプロダクト戦略の中ではユーザータイプを定義していて、それぞれのニーズや特性などをまとめています。
またプロダクト体験の中で、香水リテラシーが重要なファクターであることがわかっているため、ユーザータイプ×香水リテラシーの3×3で提供する体験を定義しています。
専門性の深化と機動力の向上を実現するマトリクス組織
早期にマーケットにおけるNo.1のポジショニングを獲得して以降、安定的にグロースさせられている背景には、およそ1年前から採用している「機能組織とプロジェクト組織を組み合わせたマトリクス型の組織体制」も関係しています。
この体制には、大きく二つの意図があります。
一つは、専門性の深化です。機能組織として各専門分野のスキルと知見を蓄積/共有することで、より高いレベルでのプロダクト開発が可能になります。
もう一つは、機動力の確保です。プロジェクト単位でチームを編成することで、それぞれのコミットメントに最適な体制を柔軟に構築できます。
プロジェクトには、各職能メンバーがアサインされていて、PM / デザイナー / エンジニア / データアナリストあたりのメンバーを中心に構成されています。
すべてのメンバーがアウトカム(成果)の最大化にとにかく向き合っていて、
- OKRによるコミットメント管理
- データドリブンな意思決定
- 迅速なフィードバックループ
- 学びの組織的な共有
あたりを仕組みに落としています。
またチームづくりの原則としては、以下の要素を重視し、Quarterごとにプロジェクト体制を微調整しています。
- 最小完結性:必要最小限のメンバーで価値を生み出せる構成
- 多様性:異なる専門性と視点の確保
- 自律性:自己完結的な判断と実行が可能な権限配分
- 機動性:状況に応じた柔軟なリソース調整
マトリクス型組織を採用して1年ほどですが、目的の明確化意識(why / what / how / when あたり)、朝会やSlackを通じたdailyのコミュニケーション、意思決定のROI向上と学びの最大化のためのドキュメンテーションなどがより強化されてきた印象です。とても良い。
今後やっていきたいこと
冒頭で申した通り、カラリアで実現していきたいのは「香りで世界を彩る」です。そして「日本の香り文化をつくる」「テクノロジーと感性が調和する世界の実現」です。
そのためのロードマップを”深化”と”探索”の2軸で分けると、以下の通りになります。
深化/ 香りとの関係性が圧倒的に深まるUXづくり
- 現在のカラリアは、香水との出会いの場を提供することにはある程度成功しています。しかし、その関係性をより深く、より意味のあるものにする部分ではまだまだです。本当にまだまだ。
- ユーザーと香水との関係性をより豊かなものにするUXの創造を目指し、継続的な発見と学びのある体験の提供していきたいと考えています。
- パーソナライズされた香りの旅の提供、香りの記憶や体験を記録できる機能、モノを活用した香り理解の深化などを通じて、UXを大きく進化させていきます。
探索/ 香水との関係性を生かした他領域(香水以外)進出
- 香水で築いたユーザーとの関係性、蓄積したデータを基盤に、新たな領域への展開を図ります。これが実現できると、香りニーズに対してより包括的な価値提供ができるようになり、ライフスタイル全般における香りの活用提案ができるプロダクトになっていきます。
- TAMの拡大やLTVの向上というビジネスリターンだけでなく、より豊かな香りのある生活の実現という、プロダクトビジョンである「香りで世界を彩る」に大きくつながる価値創造であり、超重要なアプローチだと考えています。
- しかし、課題が多いのが現状です。 ニーズを捉えたソリューションを生み出せておらず、香水は小分けという付加価値をつけられているためカラリアで買う明確な理由がありますが、他領域に関しては現状そうではないです。となると選択体験、出会い体験がとても重要になりますが、他領域アイテムに適したUXにもなっていないと考えています。「カラリアには香水を選びに来ている」というマインドのユーザーがマジョリティであり、興味を持ってもらえていない状況です。
- このような課題を解決し、カラリアを「香りのサブスク」から「香りの総合プラットフォーム」へと大きく進化させていきます。
これらの取り組みを通じて、僕たちは「香りのある生活」という新しい文化の創造を、より多角的に推進していきます。
Join us!!
香りを感じること。
その香りから物語を想像すること。
香りで記憶が呼び覚まされること。
AIの時代だからこそ、このアナログで感覚的な体験がもっと大切になっていく。
人生に彩りを加える香りの力は、テクノロジーが進化すればするほど、人々の心に深く響いていくと信じています。
カラリアは、そんな香りの力を活かし、人々の生活に新しい彩りを加えることを目指しています。単なる香水のサブスクではなく、「香りのある生活」という新しい文化を創造するプラットフォームとして機能することを目指しています。
このような思いを込めて、日々カラリアのプロダクト開発に向き合っています。
上記のような想いやビジョンに共感し、「カラリア」のプロダクトを統括してくれるPMを募集しています。
ビジネスゴールとプロダクトビジョンから逆算し、理想の体験を見極め、プロダクトに反映させユーザーに付加価値を届けていく。かつ経営にも強く関与し、CPOのポジションを掴み取ってくれるようなインパクト人材を求めています。
アピールポイント
めちゃくちゃ面白いポジションだと自負しておりますのでアピールチャンスください!!
- 1/ マーケットの特徴による面白さ
- 明確な競合がいない市場で、純粋なユーザー価値の追求ができる環境
- 香りや香水文化を再定義するチャンス
- デジタルとフィジカル(香り)の融合という独自の挑戦
- プロダクトやマーケだけではなく、ロジスティクスやMDなどの総合力が必要なビジネスモデル
- 嗜好性の高い商材だからこそのロジックとマジックの融合の必要性
- 2/ 今のフェーズならではの面白さ
- 急成長中のtoCプロダクトで、プロダクトやUXの進化を主導できるポジション
- データと感性の両方を活かした意思決定
- 12ヶ月コースのユーザーが大半を占めているサービスだからこその、長い視点でユーザ体験の企画/実装
- (日本で最も多くの人に香水をお届けしているサービスのため)保有している大量の独自データを活用した、新しい事業展開のリード
- 3/ キャリアとしての面白さ
- 新しい市場でのプロダクト開発経験
- 感性価値とテクノロジーの融合という稀少な経験
- 急成長中のtoCプロダクトを統括する経験
特に強調したいのは、「正解のない市場で、純粋にユーザー価値を追求できる」という点です。これは多くのPMが憧れる環境だと思います。
High Linkが求めるPM像
最後に求める人材像について、5つのvalueに沿って定義してみました!
- Love Team:チームを巻き込む力
- Have Fun!!:プロダクト開発を楽しむ姿勢
- 枠超え:既存の枠を超えるプロダクト思考
- 超本質主義:ユーザーの本質的課題への執着
- 爆速学習:仮説検証の速度
👇culture deck
👇エントリー
👇カジュアル面接
Xも置いておきます◎
— Masaya𓃲 (@msykbys10) 2024年12月14日