COO・岡本大輝「挑戦を先送りにする理由は、どこにもない」

代表の南木と学生インターン、業務委託のエンジニアが2人——。COO・岡本大輝が創業メンバーとしての誘いを受けた際、High Linkはまだ小さな組織だった。

お世辞にも潤沢なリソースがあるとはいえず、成功など約束されていない状況だったが、岡本は「いつか自分で事業を立ち上げたい」という思いを実現するべく、新卒入社したキーエンスを退職し、High Linkの立ち上げに参画した。

いずれ経営者になると決めていた岡本だが、当初の予定では「もっと先の話」だったという。成功の確度を高めるためにも、数年間は日本を代表する大企業に勤め、自分自身を見つめ直すと決めていたそうだ。

しかし、会社員として毎日を過ごすうちに、「リスクを取るなら1日でも早い方がいい」と考えを改めることに。学生時代をともに過ごした南木とともに、High Linkを時価総額1,000億円企業へと育て上げる決意をした。

大企業で働いていた岡本の心を動かしたきっかけは、なんだったのか。High Linkで実現したい未来は、どのようなものなのか——。

入社してから現在に至るまでのエピソードを紐解きながら、事業家集団を目指すHigh Linkの未来構想を聞いた。

自分の仕事を探して

—— 社会に出る以前から、起業を志していたとお聞きしています。

漠然としていましたが、高校生の頃から「経営者になりたい」と思っていました。

ずっとサッカーを続けていたのですが、現実が見えてくる中学生くらいになると「プロは無理だな」と理解し、どうすれば頭ひとつ抜けられるのかを考えていたんです。

その選択肢の一つがビジネスであり、経営者になることでした。

大学卒業後、株式会社キーエンスに新卒入社しコンサルティング営業に従事。2019年3月よりHigh Linkに参画し、キーエンスでの営業経験や課題解決の知見を活かし事業全般を統括。

—— 「一番になりたい」という思いが強かった?

小さい頃から好奇心旺盛であり、人と同じことをするのが嫌いで、ユニークな存在になることに憧れていたんです。

それだけではなく、きれいごとのようですが、自分のつくったサービスで社会に価値を提供したいという気持ちもありました。働く時間は長いですから、どうせなら充実感に満ちた社会人生活を送りたいじゃないですか。

だから、大学卒業を目前に控えたタイミングになっても、安定した会社に務めて一生を終えたいとは思いませんでしたし、私財を稼ぐために中途半端な事業を立ち上げたいとも思いませんでした。

—— 大学卒業後キーエンスに入社されていますが、どのような理由からでしょうか。

一度、自分を見つめ直す期間を取ろうと思ったんです。

実は学生時代に、代表の南木と一緒に会社を立ち上げようとしたことがありました。そのために大学を休学する決断をしたのですが、両親から「なにふざけたことを言っているんだ!」と否定されてしまって……。

今となっては、反対する親の気持ちが分かります。当時の僕には「起業したい」という思いしかなく、これといったやりたいこともなければ、事業計画すらなかったからです。

親の反対を受けたことで、それほど起業に対する情熱がなかったことに気が付けました。この経験は、僕にとってポジティブなものです。立ち上げたい事業も、つくりたい世界もない状態では、たとえ起業してもうまくいかなかったでしょうから。

そこで、まずは大企業に就職しようと考え直しました。社会人として働きながら、人生をかけて挑戦したい領域や、自分の職業観を確立するためです。

就職先にキーエンスを選んだのは、日本でトップレベルの営業力を持つ会社だから。ここで過ごす時間が無駄にはならないと想像できましたし、学生時代にセールスの仕事をしていたので「きっとフィーリングが合うだろう」と入社を決めました。

今日より若い日はない

—— キーエンスで働いていた当時、「立ち上げたい事業」や「つくりたい世界」を明確に見つけられたのでしょうか。

いつかは起業するつもりだったので、ビジネスのアイデアはずっと探していました。ただ、「これに人生を賭けたいんだ」という明確なものは見つかりませんでしたね。

ただ、「勝負する場所を見つけるよりも重要なことがある」と教えてくれる出来事に出会いました。入社して半年も経たない頃、とある学生起業家が、数億円の資金調達を実施したんです。

当時は現在とは異なり、学生が起業するケースはそう多くありませんでした。ましてや、数億円規模の資金調達を実施するなんて聞いたこともありません。しかし、現実として、自分よりも若い起業家が世界に大きな価値を生み出していました。

当時の衝撃は、本当はやりたいことがあるのに、それを先送りにしている自分の考え方をガラリと変えました。お金がなくても、人脈がなくても、明確じゃなくても、思いがあるなら挑戦したほうがいいじゃないかと思えたんです。

—— そのタイミングで、High Linkの事業立ち上げに参画された?

ずっと南木から声をかけてもらっていたのですが、思い立った今がベストなタイミングだろうとキーエンスを退職しました。当時のHigh Linkは、香りの定期便「カラリア」を立ち上げる直前のタイミングで、彼と一緒に事業を成長させようと決めたんです。

南木と話していたのは、「香水というセグメントに限らず、いずれはあらゆる領域で価値ある事業を立ち上げていこう」ということ。

どうせやるなら、誰も挑戦したことがない事業を手がけてみたかったし、それを連続的に行っていけば、社会に大きな価値を提供できるだろうと考えていました。

—— 社会人として過ごした時間で見つけたのは、「やりたいことに挑戦すべきだ」という価値観だったのですね。

特定のペインを解決したり、一つのセグメントに情熱を注ぐのではなく、わくわくする未来を次々に描いていくことに情熱を注ぐこと。それが、僕たちのやりたいことでした。

「カラリア」は、その第一歩です。

テクノロジーがあらゆる領域に浸透している現代においても、「香り」という領域は体験がアップデートされておらず、ここに可能性を感じて事業を立ち上げました。今では、「カラリア」はHigh Linkを支える事業の柱になっています。

2021年にシリーズAの資金調達をするまでは、営業も、マーケティングも、配送も、南木と2人きり。カルチャーなんてものは存在せず、とにかく目の前の課題を解決し続ける毎日でした。

しかし、当時から2年が経って、今では100名を超える組織になっています。社員を採用し、現場を離れてから、僕らもやっと経営者としての視点を持てるようになってきました。

個人がパフォーマンスを発揮するのはもちろんですが、組織として成果を上げることを重要視してきたからこそ、厳しいマーケット環境においても急成長を続けてこられたのだと思います。

経営は超団体戦

—— 現在、High Linkはどのようなフェーズにあるのでしょうか。

カラリアが生み出した利益を再投資し、カラリアをさらにグロースさせながら、新たに事業を立ち上げる準備をしている段階です。

カラリアであれば、フルボトルや単品での販売を実施して、香水市場全体に価値発揮したり、香水に留まらず、香りに関連するアイテムへ領域を拡大したりと、まだまだやれることがたくさんあります。

香りという領域にはまだまだ可能性が残されているので、知見とデータを生かしてさらに事業を拡大していく予定です。

一方で、香りとは切り離された領域でもチャレンジをしていきます。新規事業を立ち上げるのは、市場規模が大きく、時代の後押しがあり、圧倒的なプレイヤーが存在しない領域です。

領域を限定せず、連続的に事業を立ち上げていくのは、僕たちが目指す姿です。世間からは“香水の会社”だと思われているかもしれませんが、それは僕らの一部であって、すべてではありません。

僕らが目指すのは、新しい理想を描き、描いた理想を実現し続ける“事業家集団”です。

カラリアが安定的な売り上げを生み出す事業に成長したことで、ようやく、理想に向けた変化の第一歩を踏み出すことができました。

—— 理想を100%とすると、現在の進捗はどの程度だと感じていますか。

まだ、3%くらいだと思います。

カラリアは55万人のユーザーに使っていただける事業へと成長しましたが、まだまだ始まったばかりです。

繰り返しになりますが、僕らが目指すのは、新しい理想を描き、描いた理想を実現し続ける“事業家集団”になること。これからが勝負であり、現在がスタート地点だと思っています。

—— 100%へと近づくためには、どのような課題があるのでしょうか。

事業と組織の双方に課題があります。

事業でいえば、カラリアの成長が止まれば次の挑戦が難しくなりますから、引き続き全力でグロースさせていかなければなりません。これまでのペースを超えるスピードが求められると思っています。

組織の課題でいえば、成長の踊り場やIPOを経験している、つまり自分たちが見据える景色をすでに知っているメンバーが不足していることです。

ゼロから事業を立ち上げることには成功しましたが、すでに事業を大きくグロースさせていくフェーズへと変化しているので、より強度の高い組織をつくっていかなければいけません。

High Linkには若くて優秀なメンバーが集まっているので、ここに経験豊富なメンバーの助けがあれば、これからぶつかるであろう大きな壁も、超えていけると確信しています。

HARD THINGSを打破するのに必要なのは、知識と経験、そして、心折れずに打席に立ち向かい続けられる勇気です。

僕たちはチームで勝つことを重要視していて、仲間を愛することを大切にしています。仲間を本気で応援する組織なので、メンバーたちは恐れずに打席に立ち続けられる。

つまり、HARD THINGSを乗り越える土壌はすでに整っているので、ここからギアを一気に上げていきたいと思っています。

好奇心の追求で、あらゆる枠を超えていく

—— High Linkは新たに、「わくわくで、あらゆる枠を超えていく」というフィロソフィーを掲げました。岡本さんにとっての「わくわく」について、教えてください。

僕にとって、枠を超えていくための「わくわく」は、好奇心の追求です。

南木とカラリアを立ち上げた日から今日までを振り返ると、ユーザー数が増え、売上が増え、仲間が増え……と、組織としてチャレンジできる幅が広がっていくことで好奇心が刺激され、次々に枠を越えることができていました。

可能性の広がりが好奇心の限界を取っ払い、枠を超えるための「わくわく」が大きくなっていったんです。

創業してからの時間で、今日がいちばん未来にわくわくできています。

ユーザー数が100人しかいなかったときと、50万人を超える現在とでは、やはり想像できる未来の大きさが違う。視座がどんどん高くなっていきましたし、これからもっと未来にわくわくできると思うと、明日からの日々も楽しみで仕方がないんです。

—— 最後に、これからHigh Linkの仲間になる、未来のメンバーたちに向けてメッセージをお願いします。

High Linkは創業以来、最もおもしろいフェーズを迎えています。

これからジョインしていただけるメンバーのスキルセットが経営にダイレクトに直結するタイミングですし、香りとはまったく異なる領域で新規事業を立ち上げるので、第二創業期的なタイミングでもある。

既存事業をスケールさせつつ、自分たちに事業創造の再現性があるかを問う、最高にエキサイティングな毎日が待ち受けています。

また、問題解決や意思決定の重心が現場にあるのがHigh Linkの特徴です。自分自身の枠を超えていくチャンスにあふれた会社なので、心持ち次第でいかようにも変化していけます。

社外の方からそう言っていただける機会が多いのですが、High Linkのメンバーを一言で表現するなら、“cool brain & warm heart”。スマートに問題を解決していく頭脳を持ちながら、仲間を思いやる穏やかな心を持ったメンバーであふれています。

この仲間たちと枠を超える挑戦をし続ける毎日は、青春そのものです。

働く毎日にわくわくし続けたいみなさん、つまりこのメッセージを読んでくれているあなたとスタートアップできる日を、僕らは楽しみに待っています。

 

 

 

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Daiki Okamoto / カラリア COO (@d_star07) / X


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