CEO・南木将宏「わくわくできなければ、仕事じゃない」

「生まれつき頭がいいわけでも、誰よりも運動ができるわけでも、とびきりのカリスマ性があるわけでもない」。High LinkのCEO・南木将宏は、自分自身をそう表現する。


ではいったい、“ただの大学生”だった南木が立ち上げた会社は、いかにして「100人の仲間が集う組織」に成長したのだろうか。


メンバーたちの話を聞くと、どうやら「毎日わくわくし続けたい」という南木のピュアな思いが根底にあるようだ。


毎日わくわくし続けたい、大好きな仲間を増やしたい、仲間にもたくさんの夢を叶えてほしい——。南木の口から出る言葉は、多くの仲間の共感を呼び、少しずつ現実になっていった。


「毎日わくわくし続ける」という共通の思いを持つ仲間で構成されたHigh Linkは、今後どのような未来を描いていくのだろうか。


創業前から今日までのエピソードを振り返り、CEO・南木の頭の中をのぞいてみる。

働く時間を、素晴らしい時間に

—— 早稲田大学在学中に会社を立ち上げていますが、もともと経営に関心を持っていたのですか?

仕事に汗を流す親に憧れたり、勉強を教えてくれた先生に憧れたり、人によって夢はさまざまだと思いますが、僕にとってのそれは経営者でした。スーツをビシッと着て、スタイリッシュに振る舞う社長の姿に憧れていたんです。

ただ、最終的に起業を決意したきっかけは、社長への憧れからではありません。

起業したのは、人生の中で非常に大きなウェイトを占める「働く」という時間を、人生にとって素晴らしいものにするためです。一緒に働きたいと思える仲間たちと、大きな目標を掲げ、日々挑戦し、毎日にわくわくし続けるために経営者になりました。

—— つくりたい事業があったわけではなく、人生にわくわくするために会社を立ち上げた?

僕が実現したいのは「わくわくし続けられる毎日の実現」であり、そのために会社を立ち上げているので、事業領域にこだわりはないんです。つくりたい事業はたくさんありますが、「こうでなければいけない」という縛りは一切ありません。

現在のHigh Linkを支えているのは主要事業の「カラリア」であり、これからも大切に育てていく事業だと位置付けていますが、「香り」という領域だけにこだわり続けるつもりはないんです。

—— 「カラリア」を立ち上げるまでに、どのような変遷があったのですか?

起業を意識し始めた頃は、飲食店を経営したいと思っていました。ビジネスモデルにこだわりがなかったからこそ、まずは、自分が好きな「食べる」という領域で事業を立ち上げようと思ったのです。

記念日を祝ったり、大切な人に大切な想いを伝えたりする瞬間も好きだったので、その場を提供できると考えただけで、すごくわくわくしていました。

ただ、時間以外に何もない大学生だった僕にとって、いきなり飲食店を経営するのは簡単なことではありません。ビジネスのいろはをまったく理解しておらず、事業計画書も書けませんでしたから。

早稲田大学創造理工学部経営システム工学科2019年卒。大学在学中にビジネスに興味を持ち、ベンチャー企業2社のインターンを経験。2017年6月に株式会社High Linkを創業し、香りを楽しむ原体験から2019年1月より「カラリア」を運営。グローバルで大きなインパクトを与えられる事業を生み出し続けられる企業を目指しています。

そこで一度、準備期間を設けることにしました。最初に手をつけたのは、アプリサービスの開発です。それほどお金をかけずに事業を立ち上げられるので、サービスを短い期間で成長させて売却し、そのお金で飲食店を立ち上げようと考えたのです。

このときは、経営というものがいかに大変かを、まったく理解できていませんでした。「さくっと伸ばして、さくっと売却しよう」くらいに考えていたのですが、そう甘い世界ではなく、結局サービスを世に出すことさえできなくて。

その後もいくつかの事業プランを考えましたが、形にすることはできず、ビジネスモデルを構想するだけで時間が過ぎていく半年間を過ごすことになりました。

振り返れば、焦りもあったと思います。会社を立ち上げたタイミングでシードマネーを調達していたので、売上をつくらなければいけないと必死になっていたのです。

ただ、あるタイミングで、起業した目的を見失っていることに気が付きました。毎日にわくわくしたくて起業したはずなのに、売上をつくることが目的になっており、これじゃあ本末転倒じゃないかって。

そこで考えを改め直し、自分が好きなことを洗い出して、わくわくしながら事業をつくれるビジネスプランをつくることにしました。

「わくわく」を起点に再出発

—— 好きなこと、わくわくできることの一つが、「香水」だった?

おっしゃる通りです。そもそも経営者に憧れていた理由は、彼らが“かっこいい大人”に見えたからでした。スーツを着こなし、ピカピカの靴を履き、大人っぽい色気がある——。そのイメージを構成する要素を紐解いていくと、「香水」があることに気が付いたのです。

当初は、自社でオリジナルの香水をつくろうと考えていました。まだD2Cという言葉は存在していませんでしたが、ベンチャー企業が自社製品をつくるトレンドがあり、その流れに乗っかろうと考えたのです。

しかし、「香り」という視覚で判断できない商品を、まったく無名の会社がつくったとして、いったい誰が欲しがるのだろうと思い直し計画を断念。領域はそのままに、計画を白紙に戻して、新しいビジネスモデルを検討しました。

そのとき思いついたのが、「カラリア」です。

香水はシーズンや天気によって使い分けたいものなのに、ボトルが大きくて使いきれない。さらには香りをかがないことには商品を選べないので、なかなか新しい商品と出会うこともできません。

もしも、たくさんの香水の中から自分に合いそうなものを少量ずつ試し、理想の香りに出会うことができたら、それはとてもニーズがあるのではないか。このサービスがあったら、自分自身がわくわくできるのではないか——。

立ち上げの難易度や、競合の数ではなく、「わくわくできるか」を起点にビジネスモデルを考えた結果として生まれたのが、「カラリア」でした。

—— 「カラリア」をリリースしてから今日までのストーリーについて、教えてください。

事業を立ち上げた当時、会社のメンバーは5人です。

エンジニアの百瀬(百瀬凌也)と野川(CTO・野川賢二郎)が開発を担当し、大学の後輩だった塩盛(人事・塩盛茉優子)のサポートを受け、リリースの準備を整えました。

そこへ学生時代に一緒に起業することを約束していた岡本(COO・岡本大輝)がキーエンスを辞めて合流。香りの定期便「カラリア」がスタートしました。

リリース直後に売上が立った瞬間のことは、今でも覚えています。好きな仲間と、好きなことをする時間はこれほどまでに楽しく、そこに結果が伴うと、心の底からわくわくできるのだと全身で理解しました。

初めて売上が立ってから、事業は右肩上がりです。学生だった茉優子が一度会社を離れたので、メンバーは僕と大輝の2人しかおらず、人件費もほとんどかかりません。早くも黒字経営になり、売上利益から集客を実践することもでき、経営はかなり順調でした。

経営が軌道に乗ったタイミングで、これ以上調達しなくても経営を続けられるのではないかと、株の買い戻しを検討したこともあります。

ただ、僕らは香水の会社になりたかったわけではなく、毎日にわくわくし続けられる会社をつくりたかったし、将来の選択肢を広げられるならリスクを取るべきだと考え直し、新たに資金調達を実施。各部門ごとに責任者を採用し、組織をつくって事業をさらに拡大させていくことにしました。

初めての正社員採用は、とても勇気がいることでした。資金調達を実施したとはいえ、スタートアップはいつ倒れてもおかしくありません。人生の数ある選択肢の中から僕らを選んでくれているのだから、絶対に失敗できないと、不安な気持ちにもなりました。

ただ、それ以上に、仲間が増えていく嬉しさがありました。大切にしたい仲間が増え、一緒に大きな目標を描けることは、不安や苦労を吹き飛ばすほどにわくわくすることだったのです。

今でも採用をするときは、当時感じたわくわくが蘇ってきます。みなさんが挑戦したいことに耳を傾けていると、次は一緒にこんなことができる、今度はあれにもチャレンジできそうだ……と心が躍るんです。

昨年にはシリーズBの資金調達を実施し終え、「カラリア」の会員数は約50万人を突破しました。メンバーも100人近くになり、新しい事業にも挑戦できる体制ができています。

少し時間はかかってしまいましたが、創業当時から大輝と話していた、「あらゆる領域で価値ある事業を立ち上げる“事業家集団”になろう」という目標を叶える最初の一歩を踏み出すところまで、やっと来ることができました。

遠くへ行くならみんなで

—— 理想を100%とすると、現在の進捗はどの程度だと感じていますか?

きっと、どこまでいっても1%な気がします。起業したての僕からすれば、会員数が50万人を超えるサービスをつくれているなんて、びっくりするくらいの進捗です。

でも、小さな目標を達成するたびに理想は大きくなっていくので、いつまで経っても進捗は変わらなくて。

直近はHigh Linkを時価総額1,000億円の企業にすることを目指していますし、それすらも通過点だと考えているので、まだまだやるべきことがたくさんあるんです。

—— 進捗を高めていくために、具体的にどのような課題があるのですか?

課題は山積みですが、やはり仲間を集めることだと思います。

僕は生まれつき頭がいいわけでも、誰よりも運動ができるわけでも、とびきりのカリスマ性があるわけでもありません。これまでの人生も、多くの仲間に助けられてきました。これはきっと、これからも変わらないと思います。

スティーブ・ジョブズなら、ひとりで時価総額1,000億円を達成できるかもしれませんが、僕は当然ひとりでは達成できず、仲間たちの助けが必要です。できないことがたくさんあるので、それを助けてくれる優秀な仲間を採用していくことが、今後の課題になっていくはずです。

もちろん、与えてもらうだけのつもりはありません。仲間になってくれたみなさんには、やりたいことに全力で取り組める環境を提示したいと思っています。人によってやりたいことは違いますし、わくわくするポイントもそれぞれです。

ですが、High Linkという箱を活用すれば、みんなが人生を豊かにできるというくらいには、魅力的な環境をつくり続けるつもりです。

特に現在は、意思を持って手を挙げれば、機会がどんどん回ってくるフェーズです。やりたいことに挑戦できるカルチャーに加え、フェーズの後押しがあるので、毎日にわくわくし続けながら働くことができると思います。

欲しい未来を想像して、あらゆる枠を超えていく

—— High Linkは新たに、「わくわくで、あらゆる枠を超えていく」というフィロソフィーを掲げました。南木さんにとっての「わくわく」について、教えてください。

僕にとって、枠を超えていくための「わくわく」は、欲しい未来を想像することです。

「カラリア」でみなさんの生活を豊かにしたいな、誰もが利用するサービスをつくりたいな……と欲しい未来を想像すると、僕は心の底からわくわくします。

想像できないことは実現できないし、逆をいえば、想像できることは実現できると考えているので、欲しい未来を想像し続けることで、僕たちは枠を超え続けられると思っています。

世の中には、本当は働くことにわくわくしたいのに、「仕事はそういうものではない」と諦めてしまっている人がいるかもしれません。でも僕たちは、そう思いません。世界には無数の会社と無数の仕事があり、自分が価値を発揮できる環境に身を置くことができれば、誰もが働くことにわくわくできるはずです。

数ある会社の中で、High Linkは、毎日にわくわくしていたい人が、それを実現できる会社でありたいと思っています。

まだ小さな会社ではありますが、メンバーはみな毎日にわくわくしていますし、これからいくつもの事業を立ち上げていく予定です。日々ポジティブに変化し続けるHigh Linkでなら、きっと誰もが枠を超えていくチャレンジをし続けられるはず。

もし、欲しい未来があるのなら、それはHigh Linkで叶えてみませんか?

わくわくを実現し続ける仲間に、私たちを選んでもらえたら、それ以上に嬉しいことはありません。

構成:オバラ ミツフミ
編集:塩盛 茉優子

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南木将宏 / COLORIA(カラリア) CEO (@nanki7m) / X


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