2023年12月に会員数が60万人を突破した香りの総合プラットフォーム「カラリア」。総フォロワー数45万人超えのSNSやWebメディア『カラリアマガジン』を通じたマーケティングによって多くの方から認知を獲得し、世代を問わず幅広いユーザーにご利用いただいている。 リリース以降、順調に成長を遂げており、売上は右肩上がりで推移しているものの、「課題は少なくなかった」と執行役員の小林将也は語る。新規ユーザーの獲得に重きを置いてきた結果、既存ユーザーのLTVが低下してしまったのだ。 この課題を解決し、新規獲得に依存しない成長を目指すべく、Growth組織に徳泉成夏がジョイン。2023年の2Qからアクションを開始し、二人三脚でLTV向上を実現してきた。 さらなる成長を目指すカラリアは、香りを愛するすべての人にとっての「理想の香りと出会う場所」になるために、今後どのような施策を実践していくのだろうか。 小林と徳泉の対談を通じ、成長を続けるカラリアの行先と、High LinkのGrowth組織について明らかにしていく。 |
空白地帯を占拠した、その先の戦いへ
──── 香りの総合プラットフォーム「カラリア」の持続的な成長を目指すにあたり、これまでにどのような課題を抱えていたのでしょうか。
小林:私が入社した2022年末当時、カラリアは売上が右肩上がりで成長していたものの、サブスクリプションビジネスの最重要KPIである「LTV」はそこまで良い状態ではありませんでした。
新規ユーザーの獲得には成功しつつも、既存ユーザーの解約率が高くなり始めていたのです。
しかし、これが問題かというと、そうとも言い切れなくて。
というのも、カラリアをリリースした時点で「香水のサブスクリプション」という市場は、ほとんど競合が存在しない“空白地帯”だったからです。
事業を成功させるには早期にマーケットを独占することがなにより重要だったので、LTVの向上よりもユーザーの獲得を優先する戦略は、その時点での打ち手として正しいものでした。
──── 課題はありつつ、問題が発生していたわけではなかったのですね。
小林:課題そのものは明確だったので、それほど問題視していませんでした。大変だったのは、リソースが圧倒的に不足していたことです。
私が入社した時点で、プロダクトのグロースを担う人材は私以外にいませんでした。つまり、LTVが低下している理由は突き止められているのに、リソースが足りずに手を打てずにいたのです。
そうこうしているうちに、ユーザー数が順調に増加した結果でもありますが、CPAも高騰し始めていました。既存ユーザーの体験価値を向上させてLTVを向上させなければ、持続的な成長が困難になる未来が見えており、2023年の2Qから本腰入れてLTVの改善に取り組み始めた形です。
データ基盤、活用し放題
──── 売り上げは伸び続けているものの、ユーザー一人あたりのLTVが上がっていないという課題があったのですね。どのようにして、LTVの改善に着手したのでしょうか。
徳泉:まずは、初歩的な施策から取り組みました。今ある顧客データをもとにユーザーセグメントを分類し正確に可視化すること、そのうえでメルマガを通じたCRMを実施すること、ABテストを通じてポップアップを改善すること……。本当にゼロからのアクションから着手しました。
実施したアクションは地味なものでしたが、それでもサービスの更新率は向上し、LTVは次第に改善していきました。
大きな効果があった施策でいえば、定期便カレンダーにアイテムが追加されていない場合に、自動でアイテムが追加される機能の実装です。
解約理由の一つに「自分でアイテムを選ぶのが大変」という声があったため、前回の選択に応じて、AIがアイテムを自動で選択できるようにしました。
これにより「なにもしなくても、自分好みの香水が被りなく届く」という状態をつくれ、サービスの更新率が大きく向上しています。
小林:まだまだ着手すべきアクションが多々あり、満足しているとはいえないものの、積み上げてきた細やかな改善は確実に身を結び始めています。
前四半期が負債を返済していく期間だったとしたら、今四半期は新たな施策を仕込んでいく“攻めのターム”でした。足元を立て直すために必要な施策を一通りデリバリーし、過去最高のLTVを実現できたので、ようやく大胆なアクションにも手を出せるようになったのです。
──── 現在動かしている施策について、詳しく教えてください。
徳泉:大きく4つの施策を動かしています。まずは、先ほども申し上げた、ユーザーが自ら選ばなくとも自動でアイテムがレコメンドされる仕組みの磨き込みです。
さらに、継続に対するインセンティブの付与、単月ではなく数ヶ月、年単位で契約できるプランの検討も進めています。
サイトのユーザビリティ改善はずっと続けていて、ここにも多くのリソースを割けるようになりました。
小林:LTVの改善に向かってから短い期間で成果を上げられ、新たな施策に動き出せているのは、データ基盤が整理されているのが大きな要因です。
High Linkでは、ユーザーの理解を深めたければ即座にデータに触れられ、それをいかに生かすかの指針をデータアナリストらが導き出せる体制が整っています。会社のフェーズに鑑みれば、十分過ぎるほどです。
ただ、それゆえ、「できることがまだまだあるのに、なかなか実行できていない」というもどかしい状態が続いています。グロースを担う私と徳泉のリソースが不足しており、引き続き着手できていない施策が山積しているのです。
徳泉:私と小林は職務としてグロースを担っていますが、“グロースのスペシャリスト”というわけではありません。
現在も積極的に採用を行なっており、新しいメンバーにはどんどん業務を委譲していきたいですし、むしろ「この整備されたデータ基盤を存分に活用して、思い切り暴れてください」くらいに思っています。
いついかなるときも、イシュー・ドリブン
──── High Linkでは、グロースを担う人材として、どのようなモチベーションを持ったメンバーを求めているのでしょうか。
小林:私たちの仕事は、抽象化すると「生活者のライフスタイルをより良くしていくこと」です。ですから、ユーザーが抱えているイシューを起点に事業をつくったり、プロダクトを成長させていくことに関心を持っている人と働けたら嬉しいと思っています。
もちろん香りという領域に関心を持ってくれていたら嬉しいですが、今後は領域にとらわれず新規事業を立ち上げていくので、ユーザーが抱えるイシューを解決し続けることにパッションを持っていることが何より重要だと考えています。
徳泉:「グロースハック」という言葉が存在するように、「これをやれば事業が伸びる」という施策は一定数存在します。とはいえ「ハック」なので、それらがユーザーに価値を提供していないケースも十分にある。私たちはそうしたことをしたいと思っていないので、やはりユーザーに寄り添うマインドが不可欠です。
少し先の未来の話になりますが、カラリアが今後成長していくと、いずれ「文化」というイシューに対峙することになると思っています。
日本は海外諸国と比較して香水を利用する頻度が少ないですし、利用するにしても石鹸のような爽やかな香りが一般的になっているので、ここを変えていかなければより大きな事業に育てることは不可能です。
すると、やはり“小手先のマーケティング”だけでは不十分。大きな壁を乗り越えていくことに燃えないのであれば、少なくともHigh Linkでは、グロースを担う人材には向いていないと思います。
──── これからGrowthユニットに入社するメンバーには、どのような業務が任せられるのでしょうか。
徳泉:ようやく“大玉企画”を動かせる段階まできているので、企画をまとめ上げ、ステークホルダーとの調整を行なって、施策をぐんぐん推進していただきたいと思っています。
もちろんそれだけでなく、想像力を発揮して新しい企画をつくっていただいたり、マネジメントにまで手を広げていただいたり、すでに構想している施策を動かす以外のアクションにも着手していただけたら嬉しいです。
能力の「発揮しがい」があるフェーズ
──── HIgh Linkで働く未来を検討している方に、伝えたいメッセージはありますか。
徳泉:私は業務委託としての参画ですが、客観的にみて、本当に優秀なメンバーが集まっています。
組織はまだ若いものの、それゆえガッツと推進力があり、なおかつイシューに真正面から向き合えている。いいメンバーといい事業ドメインが揃っているので、自分の能力を存分に発揮できる機会に恵まれていると思います。
小林:付け加えると、メルカリでデータアナリストチームのヘッドを務めていた樫田光さんやノバセル代表の田部正樹さんなど、経験豊富な方がアドバイザーとして参画してくれています。知的でエネルギッシュな組織に、経験豊富なビジネスパーソンの知見が注ぎ込まれているんです。
みなさんからは「上場前後のメルカリに雰囲気が似ている」と言っていただけるなど、社外からの期待も大きな会社になってきているので、日々の“進捗感”を感じながら働けるはずです。
徳泉:今後再び新規ユーザーの獲得にも動き出していく予定ですが、LTVを向上させなければ同じ轍を踏むことになります。
プロダクトの磨き込みと新規ユーザーの獲得という大きなミッションに挑める環境なので、能力の発揮しがいがあるというか、会社として重要な課題に向き合えるチャンスでもある。仕事に「わくわく」しながら働いてもらえるのではないかと思います。
構成:オバラ ミツフミ
デザイン:小野 郷
編集:塩盛 茉優子
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